

理事長 水上 哲夫
商人の「商」という字の始まりと歴史を考えてみたい。
古代王朝である殷の人々は自らの王朝を商と呼んでいた。この王朝「商」は占いによって王朝を運営し、たくさんのいけにえを必要としていた。
商という字の成り立ちはいろいろあるが、白川静さんの常用字解によれば口は神への祈りの祝詞を入れる器であり、それ以外は刺青を入れるための針「辛」とそれを立てる台を意味するという。成り立ちからして、いかにも神権国家らしい雰囲気をまとっている。ついでに言えば、辛と口の組み合わせは、言という字である。この文字は神への誓いを口にし、それが守らなければ罰を受けるという意志を示している。
周の武王との戦いに敗れ、王朝が「周」に変わったあと、敗者である商の人々は各地に分散した。土地を持たぬために、さまざまな物品を交易する業務に従事するようになった。
戦国時代になると国家が巨大化し様々な物産がうまれ交易も活発化する。交易に携わる人々は増え商の遺民に限らず様々な人々が参加していくようになった。その人々も含めて彼らは「商人」と呼ばれるようになる。
「史記」には、商いとは、あるところで余っている品物を不足しているところへ持って行って売ることと書いてある。現代は産業が発達し、初めから需要の見込める商品を大量生産で作ることが多くなった。しかし、基本は変わらない。欲しがっている人に欲しいものを届けるために私たちは働いている。